阿蘇山などの雄大な自然が生み出す肉、野菜、魚介類の豊かさが魅力の熊本県。

九州の中でも独自に発展した熊本ラーメンをはじめとして、馬刺し、高菜めしなど様々。

熊本の歴史は肥後熊本藩初代藩主の加藤清正に端を発するものが多く、歴史も深いです。

今回は熊本県で特に「現地の飲食店やお土産でいただける」ご当地グルメを市単位に紹介していきます。

熊本県全般のグルメ

まずは、特定の市ではなく熊本県全般のグルメと位置付けられている名物を紹介していきます。

01.馬刺し

熊本県といえば馬刺し。47都道府県で生産量、消費量ともにダントツの1位を誇ります。

加藤清正が豊臣秀吉と朝鮮出兵を行った際に食糧が底をついて仕方なく軍馬を食した事が発端で、帰国後も熊本で馬刺しを好んで食べたことで文化が根付いたという説が有力です。

ヘルシーと言われる馬肉の刺身。甘口の醤油に擦りおろしたニンニクや生姜を添えるのが定番。

ロース、モモとともに人気なのが、首裏に位置する真っ白な部位「たてがみ」。脂質とゼラチン質が殆どでありながら、あっさりスーッと溶けるもので赤身と一緒に食べると美味しいと言われています。

02.辛子蓮根(からしれんこん)

レンコンの穴に辛子味噌が詰まった、熊本の一般家庭で昔から作られていた郷土料理。

病弱な熊本藩主の細川忠利への献上品として、熊本城の外堀で栽培していたレンコンと食欲増進作用のある辛子を用いたのが由来だそうです。

味噌、粉辛子、蜂蜜で作った辛子味噌を山盛りにし、茹でて陰干ししたレンコンを上から押しつけて辛子味噌を詰め込んで作ります。

輪切りにした際の外側の黄色い部分は、小麦粉やターメリックの揚げ衣です。

03.いきなり団子

輪切りのサツマイモと小豆あんを、皮(餅や小麦粉)で包んで蒸したもの。

名前の由来は短時間で「いきなり」作れる、簡単に作れるという意味合いが有力な説。

屋外で蒸したてを提供する店や、お土産用の冷凍や真空パックで販売している店もあります。

昔から作られてきた一般家庭のものは小豆あんが入っていないとも言われていますが、観光客向けの商品は基本的に小豆あんが入っています。

04.一文字ぐるぐる

一文字(ひともじ)という品種の細長い小ネギを使用した、熊本の郷土料理。

茹でたネギを氷水にくぐらせて冷やし、根元を軸に葉の部分をぐるぐる巻きつけて酢味噌につけて食べるものです。

財政難の熊本藩が1782年に倹約令を出したことがきっかけで生まれた料理と言われています。

05.だご汁、だんご汁

大分県の郷土料理とも言われる、だんご汁。熊本県では「だご汁」と呼ばれており九州地方に広く存在する郷土料理です。

小麦粉を練ってちぎった平らな団子とともに、ごぼう、人参、大根、椎茸など各種具材を入れて煮込んだ汁物です。

熊本県内でも阿蘇地方では山の具材が多い味噌ベース、天草有明地方では魚介類の具材ですまし汁風に作られるなど地域の特性が出ます。また、店によっても具材や味が異なる傾向にあります。

06.太平燕(たいぴーえん)

もとは中国福建省福州市の料理を、明治時代に華僑が日本に伝えたと言われている料理。

中国ではアヒルの卵や扁肉燕などが使われますが、日本の太平燕は鶏卵と春雨など日本でも入手しやすい材料でアレンジされています。

店により醤油、塩、とんこつなどスープが異なり、春雨の麺を使用したヘルシーな麺料理。タンメン系の野菜類が乗り、揚げ衣の付いたゆで卵入り。

取り扱う中華料理店の大半が熊本県中部に存在しているご当地グルメで、熊本県では学校給食でも出されます。

07.赤酒、東肥赤酒(とうひあかざけ)

正月のお屠蘇(おとそ)やお祝い事で振る舞われる、熊本県で歴史の深いお酒。

日本で古来から作られてきた灰持酒(あくもちざけ)のことで、濃厚な赤褐色の色合いから熊本県では赤酒と呼ばれています。

もろみに灰を入れて腐敗防止を行う灰持酒の製法を守り、かつては肥後細川藩の御国酒として愛飲されてきた伝統のお酒です。

現在では瑞鷹酒造、千代の園酒造が製造しています。

08.ちくわサラダ

熊本を拠点に100店舗以上を展開する、総菜チェーン店「おべんとうのヒライ」の名物商品。

ちくわの穴にポテトサラダを詰めて衣をつけて揚げたもので、ヒライでは各店舗平均50本は売れる人気の惣菜です。

40年ほど前に現場の女性スタッフのアイデアで生まれたものだそうで、もともと人気で大量に作っていたポテトサラダの廃棄が多いことから活用法として試作したところヒットした商品だとか。

熊本市のグルメ

熊本県の中心地となる熊本駅と新市街アーケード、そして周囲の駅を広範囲にカバーする熊本市。熊本ラーメンなどグルメのお店が集まります。

09.熊本ラーメン

熊本市を中心に店舗が多く存在する、とんこつラーメン「熊本ラーメン」。

スープを継ぎ足ししないことでとんこつ臭を抑えたマイルドな味と、ニンニクチップやマー油をスープ表面に浮かせるのが熊本ラーメンの特徴。

豚骨ラーメン発祥の地である福岡県久留米市のラーメンに感銘を受けた創業者たちが熊本市内に展開したと言われています。

10.肥後のデコなす

茄子の収穫量で高知県に続き2位をキープしている熊本県ですが、熊本県で茄子(なす)といえば長くて大きいのが定番。

もともと熊本市で戦後に作られ始めた茄子は、長茄子の「筑陽」という品種で「肥後のデコなす」とも呼ばれています。

冬から春にかけて栽培されており、アクや種が少なくて煮崩れしにくいのが特徴です。

阿蘇市のグルメ

噴火する阿蘇山から近い草原地帯「草千里」や、カルデラ内に国道や電車が走る阿蘇市。水源、温泉に恵まれる土地に豊富なグルメが揃います。

11.高菜めし(たかなめし)

熊本県や筑後地方で郷土料理とされている、高菜めし。特に阿蘇名産の阿蘇高菜がよく使用されることから、阿蘇地域の名物として知名度が高いです。

細かく切った高菜漬を炒めた後に炒り卵とご飯を混ぜて、炒めゴマや醤油などで味付けをしたもの。

ドライブイン「あそ路」が阿蘇で初めて提供したことから定着していったと言われています。

12.あか牛

阿蘇の広大な草原に放牧されている褐毛(あかげ)和牛を「阿蘇のあか牛」としてブランド化。

褐毛和牛には高知系と熊本系の2系統があり、国内各地で飼育されている熊本系の中で熊本県のあか牛が70%ほどを占めています。

暑さ寒さに強くて放牧に適し、おとなしい性格ゆえ飼育しやすい特性があります。適度な脂肪分を持ちつつ赤身が多く、旨みと柔らかさを持つ肉です。

荒尾市のグルメ

福岡県大牟田市と隣接する熊本県荒尾市は、大牟田とともに炭鉱の町として有名。万田坑は観光として公開されています。

13.まじゃく

荒尾市や玉名市など有明海の干潟に生息する、アナジャコとも呼ばれるエビの一種。

4月~10月にはシャク釣りが行われるもので、まじゃくが生活する穴の中に専用の筆を入れて採る独特の漁場は面白いものです。

シャコとは異なり、茹でると赤色になる殻と柔らかくて淡い味わい。荒尾市のゆるキャラ「マジャッキー」も、まじゃくをモチーフにしています。

玉名市のグルメ

大俵転がし祭り、高瀬裏川の花しょうぶなど風流な見どころを持つ玉名市。とんこつラーメン「玉名ラーメン」が名物です。

山鹿市のグルメ

風情ある立ち寄り湯「さくら湯」を持つ山鹿(やまが)。栗が名産です。

菊池市のグルメ

菊池渓谷などを有する菊池市。隣接する菊池郡七城町(しちじょうまち)の七城メロン、七城キンショウメロンなどの名産があります。

合志市のグルメ

熊本電鉄の沿線として熊本市のベッドタウンとなる合志(こうし)市。独特のグルメは探しても見当たりませんが、お米、農産物、加工品など特産品が揃います。

宇土市のグルメ

車エビ、あさり、マテガイなど干潟で採れる魚介に恵まれた宇土(うと)市。特に甲イカを市内の飲食店で様々な調理法で楽しめる「うとんイカ祭り」がグルメとして名物です。

宇城市のグルメ

松橋(まつばせ)を中心地に持つ宇城(うき)市。天草へと続く港町の三角(みすみ)は世界遺産「三角西港」を持つ観光地です。

14.デコポン

不知火(しらぬい)とも呼ばれる熊本名産の柑橘系デコポン。特に不知火町が有名な名産地。

コブのような頭部をデコと呼び、デコポンの特徴のひとつです。

ハウス栽培は12月頃から出荷され、露地栽培は2~5月まで出回りますが食べ頃は4月前後。

上天草市のグルメ

本土と橋で結ばれた天草エリアの玄関口、上天草市。有名な地鶏「天草大王」が有名。大矢野町の名物「黄金のハモ」は東京や関西で高値取引されるブランドです。

天草市のグルメ

有明海を広く持つ天草諸島は天草五橋で結ばれて、最奥にある牛深など港を多く有する天草市。名産のタコを使用した料理など、グルメの宝庫です。

15.天草ちゃんぽん

長崎ちゃんぽん、小浜ちゃんぽんと並ぶ、日本三大ちゃんぽんのひとつ。

キリシタンや教会など長崎由来の文化が色濃く、ちゃんぽんを食べる地元習慣も健在。専門店に限らず居酒屋や喫茶店でも扱うお店があり、その数100軒を超えるそうです。

野菜が豊富な従来のちゃんぽんに加えて、2013年から「天草Sea×Oh!南蛮ちゃんぽん」として天草の塩を使用した透明スープの独自ちゃんぽんも登場。

【提供店一覧】 熊本県観光おすすめ情報サイトに約97店舗が掲載されたガイドブックPDFあり。
【店舗分布】 天草地方(上天草市と天草市)に約107店舗。

16.あか巻

スポンジ生地に餡を塗って巻き、外側をピンク色の求肥餅で巻いたロールケーキ風の銘菓。

牛深で栽培されていた赤米で作る赤餅を用いて、タルトを参考にして赤餅で巻いたものを縁起物として食べてきた歴史があります。

もとは牛深のみ数軒で作られていたものでしたが、現在ではお土産物として天草地方や鹿児島県出水郡長島町でも郷土菓子として扱われています。

17.みやび鯛

坂田水産が20年以上前から天草市の御所浦で養殖している、九州でも知名度が高いブランド鯛。

10年以上かけて開発された、みやび鯛専用のオリジナル餌を使用。この餌により、臭みなく甘みが出ると言われています。

季節や生育状態で餌の量を調整し、イケスの鯛の量も少なめでストレスなく育てられています。

写真は「みやび鯛の荒炊き丼」で、身のツヤと輝きが良くて美味しい身です。同じく坂田水産が手掛ける、長崎県蚊焼で育てた「みやびマグロ」も名物。

18.天草金ふぐ、牛深金ぶく

天草で採れるシロサバフグは見た目が金色に輝いていることから「金ふぐ」「金ぶく」と呼ばれています。

地元牛深の漁師たちに親しまれ食べられる一方、下関を筆頭に山口県と福岡県への流通が多いため熊本県内での知名度は低いようです。

調理をする場合は調理師免許が必要ですが、毒を持たないフグと言われています。

八代市のグルメ

江戸時代の城下町として栄えた八代(やつしろ)。ザボンの一種として重量でギネス世界記録に認定された柑橘類、晩白柚(ばんぺいゆ)が特産品で日本一の生産量を誇ります。トマトの一大産地でもあり「はちべえトマト」ブランドがあります。

19.日奈久ちくわ

かつて「東の別府、西の日奈久」と言われた有名な温泉地、日奈久(ひなぐ)。

明治初期より生産されているのが、日奈久ちくわ。多数の新鮮な白身魚をブレンドして伝統の技で焼き上げるちくわは、お土産だけでなく贈り物にも喜ばれる知名度です。

練り物を扱う鮮魚店が温泉街に幾つかあります。

水俣市のグルメ

地名が「水の分かれるところ」という由来の水俣(みなまた)市。最近ではスイーツの街として地元の菓子店が色々な洋菓子を揃えています。

人吉市、球磨エリアのグルメ

急流下りで有名な球磨川沿いに人吉城跡を有する、温泉街の人吉(ひとよし)。餃子や米焼酎が名物です。

20.球磨焼酎(くまじょうちゅう)

米焼酎の主要生産地となる、熊本県南部の人吉球磨地方。人吉盆地エリアで作られる米焼酎は特に「球磨焼酎」と呼ばれます。

球磨焼酎酒造組合に加盟する28軒の酒蔵が点在しています。

最大手の高橋酒造の「白岳」「しろ」は全国のスーパーや酒屋に並ぶ米焼酎の代表格です。

21.人吉餃子

餃子の街として、人吉駅近くの古い街並みでいただける人吉餃子。

昭和の頃から餃子が美味しいと評判の店が数軒あったという歴史のようで、人吉餃子独特の型や特徴があるわけではなく各店で異なる餃子が出てきます。

皮の厚みや具は各店で大きく差がありますが、九州独特の甘口な醤油タレに付けていただけます。

22.とうふのみそ漬

水切りした豆腐を布に包んで、味噌に1週間から半年ほど漬けこんだ食品。

特に五木村や五箇荘周辺に古くから伝わる保存食で、西暦1200年頃から存在する「平家の落ち武者の保存食」とされています。

地元産の硬めな豆腐を使用することから弾力のある食感に仕上がり、チーズやイカのような味わいはお酒のおつまみにピッタリです。

まとめ

天草諸島の広い海域と阿蘇山から広がる自然が生み出す、様々な郷土料理。

一見、知名度が低いものでも実は全国区で世界に誇るグルメが多いのも熊本県の魅力。

WTO(世界貿易機関)による地理的表示の産地指定を受けた球磨焼酎を筆頭に、天草金ふぐ、みやび鯛、日奈久ちくわなど食の宝庫だと感じさせます。

ということで、熊本県全般のご当地グルメ特集でした。