今回の酒蔵見学レポートは、JR人吉駅から車で数分の場所にある深野酒造さんです。旧来の甕(かめ)仕込みと甕貯蔵を行う風情ある蔵を見せてくれます。詳しく紹介していきましょう。

1.酒蔵レポート

人吉市にある深野酒造。広めの道路沿いに民家や畑が並ぶ、おだやかな場所にある酒蔵。

自家用車用の駐車場から見る、西日に照らされた広い畑と遠くの山並みが雄大さを物語る、そんな土地に佇むのが今回紹介する深野酒造さんです。

おそらく個人での来訪であれば予約無しでも臨機応変に対応してくれると思いますが、団体客などとバッティングしないよう都合を確認した上での来訪が望ましいと思います。

いわゆる工場的に焼酎を造る効率的な焼酎製造所を持ちつつ、旧来の風情ある蔵で甕仕込みと甕貯蔵も行っています。

見学ではこの旧来の蔵を見せてくれるのが嬉しいところ。手作りの雰囲気を感じさせてくれます。

写真の暖簾と木の看板がかかっているのは事務所の入口。見学のときは2メートルほど右手にある戸をくぐり、小さな庭を配した屋外通路を通っていきます。

凛とした空気の流れる暗めの蔵。まずは甕を大量に置いている貯蔵の蔵を見せてくれます。

小さな甕が沢山並ぶ光景は、なかなか美しいもの。間近で見る甕の模様と光沢のあるツヤ感も綺麗なので、ぜひ現地で見るのをオススメする部分です。

茶色の紙を蓋として用いられていますが、時間が経って熟成していくと紙も湿って色が少し変わっていくのだとか。これもまた間近で見ないとわからないところです。

大きな甕には番号が記載されています。国税局の調査用として連番を振っているのだそうです。

次に、一次仕込み用の米を蒸す機械、蒸した米に麹をまぶして手で混ぜるための台を見せてもらいました。

製麹は麹室の外で行い、木箱に盛って麹室へ運ぶのだとか。麹室は確か木で作られた麹室に木箱を寝かす台が4つあったと思います。

そして、この酒蔵の見どころの甕仕込み場。いわゆる二次仕込みですね。

コンクリートに高さ半分以上を埋もらす形で並んでいる、500リットルくらいの容量の大きな甕。形は均一ではないので、それぞれで若干容量が異なります。

これらの甕はもう現在では新規で作ることはできないのだそうで、稀に割ってしまって数が減っていっている中で残りの甕を大事に使っているのだとか。

写真が甕仕込み場。写真左手には麹室、右手には蒸留器があります。

その後、蔵の裏手にあたる屋外へ。相良藩が水を利用するために作った水路の川、酒造所によくあるレンガの煙突も案内していただきました。

2.商品レポートと試飲

さて、いざ試飲コーナー。(ドライバーの私は飲めず……)

試飲用の建物も、支え用の柱以外は元々の蔵をそのまま用いているとのこと。風情ある空間を利用しつつ、そこそこの席数でテーブルと椅子を配置した試飲会場。

商品購入もここで行われています。

商品ラインナップを見るかぎり、旧来の主力銘柄「誉の露」は一升瓶のみの用意。

お土産向きの4合瓶は様々なラインナップ。球磨焼酎を楽しむのであれば、彩葉(さいば)などがオススメ。

他にも樽貯蔵「埋蔵金」、米と芋のブレンド「呑香」、甕貯蔵の銘柄も幾つかあります。

好みに応じて選べるだけの種類がしっかり用意されており、試飲できる銘柄も確か10種類くらい用意されていたと思います。

予想以上に見応えのある酒蔵という印象。今回紹介した以外にも見どころを幾つか教えていただきましたし、大きな一本の木を潤沢に使った蔵の造りもこだわりを感じさせるところ。

すぐ近くには球磨焼酎の代表格「白岳」で有名な高橋酒造の白岳伝承蔵もありますので、セットで見学するのがオススメです。